・公務員は副業禁止だからアフィリエイトも違法だよね?
・公務員がブログ書いて広告収入を得るのってあり?
公務員として勤務されている方であれば、副業禁止というのは誰でも知っていますが、「趣味でブログ書いて広告収入を得るアフィリエイトも副業に該当するの?」と疑問に思われる方もいらっしゃると思います。
結論から言えば、公務員がアフィリエイトで収入を得る事は「合法」です。正確に言えば、法律解釈上は“違法とは言えない”ため、結局合法という少し黒がかかった白というイメージになります。
今回は元国家公務員として勤務した後、アフィエイリトで独立した経験のある僕が、公務員がブログアフィリエイトを行う事がなぜ違法ではないのかという事について、法律解釈を交えながら解説していきます。
・公務員がアフィリエイトで収入を得る事が合法である法的根拠
・公務員のアフィリエイトに関する税金・確定申告の注意点
・公務員のアフィリエイトは職場にバレないようにする事が出来る!
それでは解説していきます。
目次
公務員の副業は原則禁止されている

そもそも当たり前の話ですが公務員の副業というのは法律によって禁止されています。公務員が本業とは別にアルバイトをしたり、会社起こしたりするのは当然アウトです。
そして公務員が副業を行ってはいけないという事は全て法律によって定められています。その根拠となるのが下記の条文です。
①信用失墜行為の禁止(国公法第99条)
→本人は勿論、所属する職場、公務員自体のイメージを壊さない、信用をなくさない為
②守秘義務(国公法第100条)
→本業の秘密が副業などを通して外部に漏れないようにする為
③職務専念の義務(国公法第101条)
→精神的・肉体的な疲労などにより、本業に支障が出ないようにする為
さらにこれ以外にも国家公務員・地方公務員それぞれにおいては、下記の条文によって明らかに「副業をしてはダメです!」という趣旨の条文が存在しており、この法律が公務員を縛っていると解釈できます。
・私企業からの隔離(国公法第103条)
私企業からの隔離)第一〇三条
職員は、商業、工業又は金融業その他営利を目的とする私企業(以下営利企業という)を営むことを目的とする会社その他の団体の役員、顧問若しくは評議員の職を兼ね、又は自ら営利企業を営んではならない。
引用元:国家公務員法
・他の事業又は事務の関与制限(国公法第104条)
他の事業又は事務の関与制限)第一〇四条
職員が報酬を得て、営利企業以外の事業の団体の役員、顧問若しくは評議員の職を兼ね、その他いかなる事業に従事し、若しくは事務を行うにも、内閣総理大臣及びその職員の所轄庁の長の許可を要する。
引用元:国家公務員法
・営利企業等の従事制限(地方公務員法第38条)
営利企業等の従事制限)第三十八条
職員は、任命権者の許可を受けなければ、営利を目的とする私企業を営むことを目的とする会社その他の団体の役員その他人事委員会規則(人事委員会を置かない地方公共団体においては、地方公共団体の規則)で定める地位を兼ね、若しくは自ら営利を目的とする私企業を営み、又は報酬を得ていかなる事業若しくは事務にも従事してはならない。
引用元:地方公務員法
しかしながら、アフィリエイトにおける収入というのは、上記で禁止されている内容のどれにも該当しないと考える事が出来るため、違法ではない、つまり合法だと結論づける事ができます。
1つずつの条文が、なぜアフィリエイトで収入を得る事を禁止する事にはならないのか、それぞれ解釈を見ていきます。
公務員の副業禁止は合法!アフィリエイト収入が副業に該当するかがポイント!

それではそれぞれの条文とブログアフィリエイトの関係性について解説していきます。
アフィリエイトが信用失墜行為に該当すると言えるか?
まずは公務員がアフィリエイトを行う事が信用失墜行為になるのか?という視点ですが、なるわけありませんね。
アフィリエイトが例えば詐欺であるなら信用失墜と言われてもしょうがないかもしれませんが、アフィリエイトは紹介ビジネスです。位置づけは代理店のようなものです。
代理店が詐欺ですか?そんなわけないですね。
もちろん「公務員のくせに副収入があるのはムカつく!」という国民の感情論的見解も意味をなしません。法律とはそのような感情論で左右されるものではないからです。
誰かが「公務員がアフィリエイトを行っているから、国家は信用ならん!」と言い始めても、それは主観的な問題にすぎず、そこにロジックは存在しないため、信用失墜行為と言えるはずがありません。
その感情論を採用しだせば、「公務員のくせに….」というあらゆる感情論で信用失墜になってしまい、公務員嫌いの言ったもの勝ちになるからです。
ゆえに、信用失墜についてはクリアです。
アフィリエイトが守秘義務違反と言えるか?
続いてアフィリエイトが守秘義務違反なのか?と言われれば、そんなわけないです。
もちろん、職務で知り得た情報を漏洩しながら記事を書いた場合はアウトですが、それはアフィリエイトそのものが守秘義務違反というわけではありません。
別に職務とは何も関係のない、それこそ自分が読んで面白かった本をアフィリエイトするだけなら、何1つ守秘義務違反と言われる事はないでしょう。
よって守秘義務違反もクリア。
アフィリエイトが職務専念義務違反になるのか?
公務員がアフィリエイトを行う事が職務専念義務違反になるのか?という点ですが、別になりません。
もちろん仕事中にアフィリエイトサイトを作っている等は明らかに職務に専念していないのでアウトですが、公務員が勤務時間外に行う行為については別に自由です。
もちろん「アフィリエイトの作業で疲れて本業に支障が出る可能性があるのであればダメでしょ?」という指摘は分かりますが、それは作業量の問題ですよね。アフィリエイトそのものが性質的にダメという訳ではないです。
それにその視点であれば、公務員が平日に飲み会する事だって「もしかしたら次の日の仕事に支障が出るかもしれないだろ!」とどこまででも因縁をつける事だって可能になります。
要するに職務専念義務違反になるかどうかは、さじ加減の問題です。
なので、徹夜とかして記事を書いて次の日に仕事中居眠りしてます!とかはダメですよ。そうならない範囲であれば、別にプライベートな時間をどう過ごそうが基本自由です。
よって職務専念義務違反もクリアです。
公務員はいかなる営利目的の行為をしてはいけないわけではない!
「公務員はいかなる営利目的の行為であってもダメ!」と勘違いしている人がいますが、そもそもそれが間違いです。そんな事は法律のどこにも記載されていません。その証拠に株やFXは公務員でも完全にOKです。
公務員がいかなる営利目的の行為もダメ!と勘違いさせてしまう理由は、国家公務員法103条・104条及び地方公務員法38条だと思いますが、もう一度条文を読み直してみましょう。
・私企業からの隔離(国公法第103条)
私企業からの隔離)第一〇三条
職員は、商業、工業又は金融業その他営利を目的とする私企業(以下営利企業という)を営むことを目的とする会社その他の団体の役員、顧問若しくは評議員の職を兼ね、又は自ら営利企業を営んではならない。
引用元:国家公務員法
・他の事業又は事務の関与制限(国公法第104条)
他の事業又は事務の関与制限)第一〇四条
職員が報酬を得て、営利企業以外の事業の団体の役員、顧問若しくは評議員の職を兼ね、その他いかなる事業に従事し、若しくは事務を行うにも、内閣総理大臣及びその職員の所轄庁の長の許可を要する。
引用元:国家公務員法
地方公務員法第38条は国家公務員法第103条・104条と意味が一緒なので、ここでは国家公務員法の法解釈について見ていきましょう。
まず第103条の「自ら営利企業を営んではならない」という箇所ですが、別にアフィリエイトをする事が営利企業を営む事にはなりません。
アフィリエイトの会社を設立しちゃうとかはアウトですが、例えば友達に紹介コードを送って、そのリンクから申し込んでもらったら自分にも報酬が入る“紹介プログラム”を利用する事だってアフィリエイトであり、それが営利企業を営む行為だ!と解釈するのは強引です。
続いて第104条の「報酬を得て..」の下りが一番ネックですが、“報酬”という言葉の定義を明らかにしなければいけません。
しかしながら国家公務員法には報酬に関する定義が一切なく、仕方ないので他の法律から報酬という言葉の定義を引っ張ってくると、このような解釈となります。
健康保険法(第3条第5項)
この法律において「報酬」とは、賃金、給料、俸給、手当、賞与その他いかなる名称であるかを問わず、労働者が、労働の対償として受けるすべてのものをいう。ただし、臨時に受けるもの及び三月を超える期間ごとに受けるものは、この限りでない。労働基準法(第11条)
この法律で賃金とは、賃金、給料、手当、賞与その他名称の如何を問わず、労働の対償として使用者が労働者に支払うすべてのものをいう。
さらに「大阪府QA 営利企業等の従事制限」によるとこのような記載があります。
地方公務員月報平成元年12月号(自治省公務員課編17頁)
「報酬」とは、労務、労働の対価として支給あるいは給付されるものをいう。
「労務、労働の対価」とは、職員が一定の労働を提供することに対して双務契約に基づき支払われる反対給付のすべてをいい、金銭のみでなく、現物給付、利益の供与についても「報酬」の対象となる。
それが、経常的なものであるものと一時的なものであるものを問わない。ただし、謝金、実費弁償に当たるものは「報酬」に含まれない。たとえば講演料、原稿料、布施、車代等である。「いかなる事業若しくは事務」とは、それが営利を目的とするものであると否とを問わず、すべての事業及び事務を含むものである。報酬を得ないで非営利事業もしくは事務に従事することについては地公法は規定していない。
このように他の法令等から読み取れる報酬という言葉の定義は、「労働の対価」であると解釈できます。そして、労働の対価とは「双務契約に基づき支払われる反対給付のすべて」であるという事が分かりますね。
アフィリエイト収入は労働の対価なのか?
アフィリエイト収入が労働の対価であるのかどうか?という疑問ですが、当然違います。アフィリエイトは労働による対価ではなく、紹介行為に対する企業側からの謝礼です。
あなたが一生懸命労働しても、相手が紹介を拒否(この場合は申し込みをしない)するのであれば、お金は一切発生しません。
つまり、アフィリエイト収入は労働の対価ではないです。紹介という行為に価値があり、その価値にプライスがついているだけです。
アフィリエイト収入は「双務契約に基づき支払われる反対給付のすべて」に含まれるか?
そもそもアフィリエイト収入が労働の対価ではない時点で、もう何も問題はないのですが、念のため労働の対価という言葉の定義を、考えてみます。
ここでいうところの「双務契約に基づき支払われる反対給付」という言葉が少し複雑ですが、双務契約というのはお互いが債権債務を背負っているという関係と考えてください。
例えば、会社員は完全に双務契約です。会社員は会社に対して「労働力を提供する義務があり、賃金を請求する権利」を持っており、逆に会社は会社員に対して「労働力を要求する権利がある代わりに、賃金を支払う義務」があります。
つまり“雇用契約”というのは双方が互いに権利義務(債権債務)を背負っているため双務契約という事です。
しかしアフィリエイトはどうでしょうか?別にメーカー対して商品を紹介しなければいけない義務を背負っているでしょうか?いませんね。アフィリエイトは紹介したら謝礼を支払うという完全にフルコミッション制なので、別に双務契約ではありません。嫌になればいつだって紹介を辞めればいいですし。
よってアフィリエイト収入を「双務契約に基づき支払われる反対給付」と解釈することは出来ません。
以上の法解釈によって、アフィリエイトを違法行為と定義する法律上の条文はなくなったため、アフィリエイトは違法ではない、つまり合法という結論が導かれます。
公務員がアフィリエイトをして処分された前例はあるか?

ちなみにアフィリエイトを行って懲戒処分をくらった職員の前例ですが、もちろんありません。
これはアフィリエイトで稼いでいる公務員がいないため(あるいはいたとしても職場に知られていないため)、問題視すらされていないからでは?とも考えられますが、先述した通りそもそもアフィリエイトは違法ではありません。
公務員がアフィリエイトをする場合許可を取るべきか?

国家公務員法及び地方公務員法には、このような記載もあります。
・他の事業又は事務の関与制限(国公法第104条)
他の事業又は事務の関与制限)第一〇四条
職員が報酬を得て、営利企業以外の事業の団体の役員、顧問若しくは評議員の職を兼ね、その他いかなる事業に従事し、若しくは事務を行うにも、内閣総理大臣及びその職員の所轄庁の長の許可を要する。
引用元:国家公務員法
・営利企業等の従事制限(地方公務員法第38条)
営利企業等の従事制限)第三十八条
職員は、任命権者の許可を受けなければ、営利を目的とする私企業を営むことを目的とする会社その他の団体の役員その他人事委員会規則(人事委員会を置かない地方公共団体においては、地方公共団体の規則)で定める地位を兼ね、若しくは自ら営利を目的とする私企業を営み、又は報酬を得ていかなる事業若しくは事務にも従事してはならない。
引用元:地方公務員法
これを読むと上司の許可が必要ではないのか?と思ってしまいますが、すでに述べている通り、アフィリエイトは営利目的の企業を営んでいるわけでもなければ、ここでいう所の報酬でもないため、許可を取る必要がありません。
そして、仮に許可を取りに行こうものなら、超コンサバティブな公務員ですから、絶対に許可しません。なんせ前例もないですし、アフィリエイトの意味を上司が理解していないからです。
無駄な話をわざわざしに行く必要はありません。
公務員のアフィリエイトの収入は確定申告でばれる?普通徴収ならばれない?

公務員がアフィリエイトをしている事が職場にバレるのか?という事ですが、そもそも違法ではないのでバレてもいいのですが、わざわざバラす必要もメリットもありません。
しかし、税金面(20万以上の利益が出て確定申告が必要な場合)だけ注意しておかないと、職場から「この人本業以外で何か別の収入があるのではないか?」と疑われてしまう可能があるので注意してください。
注意するのは次の点です。
・住民税の支払い方法は「自分で納付(普通徴収)」にチェックを入れて確定申告をする
通常住民税は、市役所等が前年の所得を計算してあなたが勤めている会社に請求する「特別徴収(給与から天引き)」という仕組みをとっています。そのため、周りの職員と比べてあなたの住民税の金額が大きいと、「この人他に何か収入があるな?」と疑いの目が向けられます。
しかし、普通徴収を選択して確定申告すれば、アフィリエイトで稼いだ金額に対して発生する住民税のみ自宅に税金の納付書が郵送されてくるため、特別徴収の金額が周りの職員より多くなるという事はありません。
つまり、アフィリエイトで収入を得ていても、住民税さえクリアすれば、基本的には職場にバレる心配はないという事です。
公務員がアフィリエイトをするなら家族名義で確定申告しよう!

基本的に住民税を普通徴収にしておけば問題ないですが、さらに保険をかけたい場合は、自分の名義で確定申告するのではなく家族の他の誰かの収入として確定申告をするのも無難です。
奥さんとかであれば財布も一緒なので一番話が早いでしょう。それか親とか。確定申告しない事は脱税となりまずいですので、このような抜け道を使うのもありです。
公務員の自己アフィリエイトも当然合法

ちなみに少し話がずれますが、公務員がポイントサイトなどを使ってセルフバックを行う「自己アフィリエイト」も当然合法です。
有名なところで言えば「ハピタス」ですが、このハピタス経由でショッピングしたり、クレジットカードを作ったりすると、ポイントがもらえるというサービスです。
ためたポイントはnanacoや楽天Edy、さらには現金にも交換できるので、自己アフィリエイトは意外と美味しいサービスでもあります。
僕も公務員時代にハピタスを活用しまくり、合計で「332,119円」ポイントを貯めた経験があります。
補足:公務員におすすめの副業って結局何?元公務員の結論はFX!

最後にですが、僕が元公務員としての立場から言うと、公務員に最もオススメな副業は「FX一択」です。
アフィリエイトももちろん魅力的ですが、株やFXといった資産運用のように完全にOK!と言われているわけではないのが唯一の懸念として残りますし、アフィリエイトで稼ぐのって結構作業が多くて大変です。
公務員の仕事をしながら記事を書いていくのって、想像以上にしんどいですよ。お金を稼ぎたくて作業を頑張るのも大事ですが、プライベートな時間が取れなくなるのはやっぱり人生として微妙です。
その点FX投資であれば、デイトレードに絞って、仕事が終わった後の1時間しかやらない!と決めてメリハリを持って副業をすることができます。会社員のライフスタイル的には正直その方が向いています。
個人的にはアフィリエイトよりもFX押しかな?というのが最後の結論でした!